今宵、月が愛でる物語
「お前、さ。

考えたことある?

俺が何でお前に触れないか…。」

「……………」

言葉が出ない。

奏一の醸し出す雰囲気に飲みこまれてしまうようだ。

「……ふっ。柔らかくて気持ちいいほっぺただな。

離したくなくなる。」

「…っ!」

カッと顔が熱くなるのがわかる。

表情は読み取れないけれどその瞳には、月に照らされた私が映っていて……

「なぁ、わかる?

一度触れたら最後。

もう…我慢できなくなるんだ。」

「な……なに言って…っ!」



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