今宵、月が愛でる物語
ふたり並んで、雪道を歩く。
冬汰はね、全然わかってないよ。
いつもまるで私ばっかり冬汰を振り回してるような口ぶりだけれど、
そうじゃ、ないんだよ。
『菫』って、静かに染み渡るように私を呼ぶ声も、
私をすっぽりとふんわりと包むその意外とたくましい腕も、
ぴったり寄り添うと心地よく、とくんとくんと響く鼓動も、
どこにいても優しく見つめてくれる瞳も、
そう、縦横無尽に好き放題に私を貪るその唇も。
全部全部、私の心も身体も捉えて離さない。
そう、振り回されてるのは私の方なんだよ。
悔しいからそんなこと、教えてやらないけどね。
冬汰はね、全然わかってないよ。
いつもまるで私ばっかり冬汰を振り回してるような口ぶりだけれど、
そうじゃ、ないんだよ。
『菫』って、静かに染み渡るように私を呼ぶ声も、
私をすっぽりとふんわりと包むその意外とたくましい腕も、
ぴったり寄り添うと心地よく、とくんとくんと響く鼓動も、
どこにいても優しく見つめてくれる瞳も、
そう、縦横無尽に好き放題に私を貪るその唇も。
全部全部、私の心も身体も捉えて離さない。
そう、振り回されてるのは私の方なんだよ。
悔しいからそんなこと、教えてやらないけどね。