今宵、月が愛でる物語
「じゃあな、来栖。」

「あ、先生待って!」

他に誰もいない教室を立ち去ろうとする先生を呼び止め、立ち止まった背中に最後の勇気を振り絞る。

「先生…。やっぱ私、先生が好き。どうしても好き。

先生が…生徒に手を出すような人じゃないってわかってるけど、諦められなかった。ずっと。


これで最後にするから。


これで断られたら…もう諦めるから。


先生………。


先生が、私の気持ちを全部持っていっちゃったの。


先生のこと想ってると、ドキドキして止まらないの。


笑顔とか、一番そばで見ていたいの。


だから……私を、先生の彼女にして。」


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