今宵、月が愛でる物語
それから4時間後の今に至る。

「ふぅ。やっと半分いった…かな。」

手を止めて休憩をするため席を立つ。

ジャケットを脱いでシャツのボタンをいつもよりひとつ多く開け、伸びをしながら窓の外を見た。

「あ、満月だー。」

ビルの隙間に見える月。

都会の空気でくぐもって見えるその姿は上空の綺麗な空気の元へ行きたがっているようで、早く家に帰りたい私とダブって見えた。



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