今宵、月が愛でる物語
逃げ道を探すようにチラリと隙を覗く。
それとも…ポケットのスマホで『彼』を呼ぼうか。
「…おい。」
「…!」
呼ばれる声に息を飲むと頬に触れる感触に気づいた。
「ちょっ…ヤダ。触らないで。」
パシリと手を払い、胸を押す。
「~~~~~!除けてよ!」
びくともしないその身体。めいっぱい両手で押しのけようとしてもお構いなしとばかりに動いてくれない。
それどころか更に密着するように間合いを詰め、息がかかるほどの距離まで来てしまう。
…どうしよう!怖い!
「…俺だってずっとお前を見てきた。ずっとお前に触れたかった。
お前だって俺に笑いかけてくれてたじゃん。
なのに…
途中から転勤して来たあいつに持ってかれるなんて酷いだろ?」
ーずっと触れたかったー
…え?どういう意味……
「あっ!」
油断した隙を突いて首筋に落とされたキス。
それと同時に絡め取られてしまった両手。
「やっ!やめてよ、青柳くんっ!」
パニックを起こしながら掴まれている腕を必死に解こうともがく。
それでも…めいっぱい動いているのに一向に離れないその身体。
軋むように痛む腕は恐怖を煽り、この後の展開を悪い方に想像させ、心臓が狂ったように暴れる。
「~!っやだ!」
月明かりに照らされる青柳君の顔は怒りに歪んでいて、きっと私の抵抗なんてどうでもいいんだ。
「……拒むなよ。そんな力じゃ逃げられるわけないだろ?
あいつに顔向けできないようにしてやるよ。」
「何言って…っ!いたっ!」
ひときわ強く腕を引かれると同時に彼の顔がもう間近に迫り来る。
一気に強張り、震えが上がる身体。
キスされる!!!
そう思い、咄嗟に顔を背けた瞬間、
「うわっ!」
「きゃっ!」
強い力に引き剥がされ、抱え込むように慣れた温もりに包まれた。
それとも…ポケットのスマホで『彼』を呼ぼうか。
「…おい。」
「…!」
呼ばれる声に息を飲むと頬に触れる感触に気づいた。
「ちょっ…ヤダ。触らないで。」
パシリと手を払い、胸を押す。
「~~~~~!除けてよ!」
びくともしないその身体。めいっぱい両手で押しのけようとしてもお構いなしとばかりに動いてくれない。
それどころか更に密着するように間合いを詰め、息がかかるほどの距離まで来てしまう。
…どうしよう!怖い!
「…俺だってずっとお前を見てきた。ずっとお前に触れたかった。
お前だって俺に笑いかけてくれてたじゃん。
なのに…
途中から転勤して来たあいつに持ってかれるなんて酷いだろ?」
ーずっと触れたかったー
…え?どういう意味……
「あっ!」
油断した隙を突いて首筋に落とされたキス。
それと同時に絡め取られてしまった両手。
「やっ!やめてよ、青柳くんっ!」
パニックを起こしながら掴まれている腕を必死に解こうともがく。
それでも…めいっぱい動いているのに一向に離れないその身体。
軋むように痛む腕は恐怖を煽り、この後の展開を悪い方に想像させ、心臓が狂ったように暴れる。
「~!っやだ!」
月明かりに照らされる青柳君の顔は怒りに歪んでいて、きっと私の抵抗なんてどうでもいいんだ。
「……拒むなよ。そんな力じゃ逃げられるわけないだろ?
あいつに顔向けできないようにしてやるよ。」
「何言って…っ!いたっ!」
ひときわ強く腕を引かれると同時に彼の顔がもう間近に迫り来る。
一気に強張り、震えが上がる身体。
キスされる!!!
そう思い、咄嗟に顔を背けた瞬間、
「うわっ!」
「きゃっ!」
強い力に引き剥がされ、抱え込むように慣れた温もりに包まれた。