今宵、月が愛でる物語
疲れて重い身体を引きずり、なんとか会社に着く。
「すみません。商品部の橘です。ロック、開けてもらえますか?」
ここの会社はセキュリティの関係で各部署のオフィスごとにロックがかかる。その日最後に帰る人が守衛室でロックをかけてもらっていくのだ。その解除も守衛室でないとできないためこうしてお願いする必要がある。
「おっ、朱夏ちゃん。また忘れもんしたのか?ちょっと待ちな。えー、商品部………っと。」
窓口でお茶を啜っていたおじさんがロック解除のために重い腰をあげる。
…私、忘れ物なんてたった数回しかしてないのにどうして下の名前まで知ってるんだろ。
「お? 商品部ならまだロックしてないぞ。誰か残ってる。」
「えっ?もう9時半近いのに?…おかしいな。わかりました。どうも。」
「すみません。商品部の橘です。ロック、開けてもらえますか?」
ここの会社はセキュリティの関係で各部署のオフィスごとにロックがかかる。その日最後に帰る人が守衛室でロックをかけてもらっていくのだ。その解除も守衛室でないとできないためこうしてお願いする必要がある。
「おっ、朱夏ちゃん。また忘れもんしたのか?ちょっと待ちな。えー、商品部………っと。」
窓口でお茶を啜っていたおじさんがロック解除のために重い腰をあげる。
…私、忘れ物なんてたった数回しかしてないのにどうして下の名前まで知ってるんだろ。
「お? 商品部ならまだロックしてないぞ。誰か残ってる。」
「えっ?もう9時半近いのに?…おかしいな。わかりました。どうも。」