今宵、月が愛でる物語
「商品部のロック、お願いします。」

守衛のおじさんに声をかけると…おじさんは不機嫌だった。

「…おう。」

「…?どうかしたんですか?」

私がそう言うとおじさんはピクリと顔を上げ、睨む。

その視線の先は………、

「………は?俺?」

「朱夏ちゃん。こいつに泣かされたらワシんとここいよ。」

「…なっ!何言ってるんですか!?」

おじさんの表情は険しい。黒崎さんに掴みかかりそうだ。

「ワシをナメるな。防犯カメラでお前らの行動は筒抜けだ。どれだけの従業員の色恋を見てきたと思っとる?」

防犯カメラ……!見られてたんだ!

「…なんだよ。覗きかよ。」

「お前っ!朱夏ちゃんにあんなことしておいてよくもヌケヌケと!」

「朱夏は俺の!これからたっぷり見せつけてやるから来週から覚えとけよジジィ。」

「…なっ!黒崎さん!」



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