インフィニティ(仮)
スルトの右手の炎が消えた。

左手が僕をとらえる!
気付いた時にはかわせる距離ではなかった。


「ちっ!」

黒い影が目の前をよぎり、スルトは自分の胸を左手で叩いた。

…手には槍が刺さって胸を貫通している。


槍が飛んできた方向を見ると、片目の男の子がいた。



スルトがひるんだ隙に鉄槌を振り上げて脳天に叩きつける。

勢いよく地面にガツンと叩きつけて、僕は着地した。


しとめたのか…室内の温度はグングン下がる。



「…弥生!」



走って弥生のところに駆けつける。


焼けた肉と血の臭いが漂う。


弥生は…




全く動く気配がない。



「弥生!ねえ!弥生っ!!」

必死に揺さぶるが反応が無い。


「誰か…助けてよ!!」


立ち上がり数歩歩いたところで僕は力尽きて倒れた。




…暗いよ。



真っ暗になっていく…。




真っ暗な中…声だけが聞こえた。


「やはりトールか」

「…全てはユミルのみが知る…だな。」



…よくわからない。何を言っているのか?



聞こえた声は父さんの声だった気がした。

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