インフィニティ(仮)

「しっかりしてっ!」


不死者の間をかいくぐり、その中に彼を見つけた。

「恭…なんだか体が軽くなったぞ。」


触れた肌は冷たく…
見つめる眼は…


不死者のようだった。

「グングニル。」



その鋭い刃は僕めがけて、縦に勢いよく伸びてきた!



「危ない!」

とっさに昴君が僕を押した。

僕は地面に倒れ、黒い影が宙を舞った。


「ぎやああっ!」


飛んだのは昴君の左腕だ。


「くそっ!やったなこのお!」


幸いにも腕から出血はない。


切られたというよりも‘取り外された’ような感じだ。


腕がとれた場所の空間ごともぎ取られている。


むきになった昴君はヴィジョンを解放した。

「くらえ!ギャラルホルン!」


凄まじい振動で建物が揺れる。

「昴君!止めてよ!あれ清十郎君だよ!!」

僕の声は届かない。


建物がきしむ…



このままじゃあ…みんな生き埋めだ!

埋め込まれたレンガが小刻みに揺れて…徐々に隙間を大きくしていく。


一つ…また一つと取れ始め、もう止まらない。


限界に達して一斉に崩れ落ちる!!

< 52 / 78 >

この作品をシェア

pagetop