インフィニティ(仮)
「ごめんなさい…。」


弥生はそれだけを言ってその場に倒れた。

僕はとっさにそれを受け止めるが力が足らずに一緒に倒れてしまう。


ヌメリと言うよりザラリとした血の感触…ほとんどは乾いている。


弥生には特に外傷は見あたらない…。



じゃあ…。



「誰の血…?」


「わわっ!」

自転車のブレーキ音が鳴り響く。


そこに新聞配達の人がたまたま通りかかった。

ひどくあせった様子で僕たちを見ている。


携帯電話を取り出しどこかに電話をしだした。

僕はただ…その行為を見ているだけ。



しばらくすると救急車がやってきて弥生はそのまま救急車で運ばれた。



数日後…



弥生の父親の葬式が行われた。



僕も弥生もその場にいた。


周りから聞こえてくる数々の罵声…


「あの子…血まみれで発見されたんですって!」


「その血父親のものらしいわよ!」

「お父さんもヤクザだったらしいし…親が親なら子も子ね?」


みんながみんな弥生がやったと思っている。


弥生も無言のままなにも言わない。


…僕も。



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