インフィニティ(仮)
「どうやってここに入ってきたんだい?ここに入るにはユミルの輝石が必要なはずだ。」



僕は警戒するように右手のグローブを双真に向けた。



「フフフッ…想定内だ。それよりそんな玩具で私に攻撃するつもりか?」


…ヴィジョンのことだろう…。

「君は成長期を過ぎている…。ヴィジョンを使えない君に勝ち目はないさ。」


そうだ。ヴィジョンは大人になれば使えない。
それは双真も知っている。


…なのに。


この拭えない不安感はなんだろう…。


「…顔色が悪いようだな。」

双真は僕の思考を読み取っているかのように話しかけてきた。

不気味にうつむき加減で微笑む姿に僕の背筋に冷たい汗が通る…。


逆にこっちが追い詰められているようなこの感覚…。

僕は……。




双真に気付かれないようにヴィジョンを解放した。


「榊。お前は私を攻撃出来んさ。」


「…ふっ。何を寝言を…。」


双真の後ろから影がノロリと顔を見せる…。


「………。」

髪も…瞳も…服も…全身黒ずくめのその男はどこか見覚えがある顔をしていた。
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