幼なじみ
ガチャ…

急に開くドア


私はハッとドアに視線を向ける


「乃愛…?大丈夫?」


入ってきたのは凪沙

気を使ってるのか
私の顔色を伺ってるみたいに少しよそよそしい


鍵盤から手を下ろして
涙を隠す


「だからぁ、ノックしろって言ってんじゃん。」


涙を隠すために
惨めな心を隠すように


声が大きくなった


「…なんかあったのか?」


イヤだなぁ

一緒にいた時間が長すぎて
お互いに少しの変化でわかってしまう


「なんでもない。
ちょっと…色々あっただけ…。」


凪沙に背を向けた

瞳を見たら
きっと
泣き叫んで凪沙の胸に飛び込んでしまう


そしたら
きっと
困った顔するでしょ?


「乃愛…。」


後ろか凪沙の腕が私の体を抱き締める


ドクンッ…!


全身が震える
背中に集まる神経

感じる体温

「何かあったんだろ?
…ひとりで悩まないで…。俺も力になるから。」


頭の上から降ってくる
言葉が

温かくて

優しくて


すごく


痛い…
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