ハナミツ











涙が溢れるように流れては落ちる。

綾瀬さんが涙で見えない。




「………二度と会わないなんて………ひくっ
い、えるわけ無いです………。
わたひ……っ…は綾瀬しゃんに会いたいです。…………
声優さんだろうが、……綾瀬しゃん……は綾瀬さんです。
何か違うんですか?……わた、ひっ…………






ぐっと綾瀬さんの左腕が伸びてきた。



「……あ、」


左手を私の後頭部に回し、私をぎゅっと綾瀬さんの左肩方に引き寄せた。



「あやへ……しゃ?………」

綾瀬さんにもたれ掛かる形になった。
綾瀬さんの表情は見えない。


ただ、何か香水かわからないけどよい香りがした。
あったかい。





「あ、………の。」





「……鼻水出てましたよ。涙も。こうしたら見えないでしょう。」


少し上から声が降ってきた。




「はな、鼻水は………んん!ん……、」

「………やっぱりする。」



「へ………?」








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