ハナミツ
「…少しは両親から援助はありましたよ。
学生の頃から、自分がこうしたいって将来の話はしてましたから応援してくれてました。お前が好きなようにしろって。」
「……」
「…、藤ノ宮さん?」
「すごいですね。そんな若いときから…びっくりしちゃいました。」
……。
石畳に落ちる桜を見ながら私は、ちょっと考えた。
綾瀬さんのしたいこと。
いまこうやってしたいことが出来ている。
「藤ノ宮さんは……わっ、」
風がざああっと吹いた。
「ひゃ………桜が、」
花びらが一斉に舞い落ちる。
目をつぶって、風が過ぎるのが待った。
風は一瞬で止み、わたしはほっとした。
ふっと
確かこないだ倒れた時に暗闇に綾瀬さんが
立っていたことを思い出した。
綾瀬さん……。