ハナミツ



「え。」



「………俺を知ってる人は、声優としての職業の自分に興味があるから近付いてくるのは分かります。
でも、藤ノ宮さんは知らなかった。
レンタル屋で知り合った奴なんか、別に気にかける必要はないのに。」


綾瀬さんは真っ直ぐ私を見る。


眼鏡越しだからか、視線は若干弱い。




「私は、」



……。



からだに響く低くて。やさしい声が好き。

笑った時に下がる目尻が安心する。



歩くときに歩調を合わせてくれる。



仕事を大事にしている。


自分を大事にしている。





















もし仮に私と仕事を量りにかけたら、


必ず仕事を取ってくれると思う。



結ばれはしない、恋。
















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