ハナミツ
綾瀬さんはマスクをとり、ふっと息をはいた。
「もう春も近いですね。」
「え、あ、……はい。」
悲しいかなあまり
男性と付き合ったことがないから
私は会話が続かない。
綾瀬さんはどうなのかな。
見た目は年上の感じがする。
「花屋さんとかこれから益々
綺麗な花が入ってくるんじゃないですか」
「そうですね。切り花で桜は出してますね。
冬も綺麗な花はあるんですけど。」
「桜か、他は……」
「うーん。メジャーなのはラナンキュラス、スイトピー、
チューリップ、フリージアも綺麗ですね。私はよく
フリージアとかを入れて花束作ったりしちゃいますね。」
「……フリージア?」
おうむ返しに綾瀬さんは尋ねてきた。
「ちょっと、待って下さい。」