ハナミツ
私は鞄からデジカメを取り出した。
起動させ、アルバムを開く。
「撮りためてるんですか、」
「はい。花束作ったりするときに
かぶらないように。
あとは自分のアレンジ勉強のためですけど。
あ、これ、」
「………へぇ。」
綾瀬さんはじぃっとデジカメ画像を覗き混んでいた。
フリージアの紫と黄色と
かすみ草を少し入れた花束。
「フリージアは元々アフリカの花なんです。
日本では秋に植えて、今くらいに
花が咲きます。
黄色は金木犀みたいな甘い
香りがするんですよ。
これは、確か新築祝いかなにかだったかな」
「綺麗ですね。」
綾瀬さんは私の肩越しにデジカメ
画像を覗き混んでいる体勢だった。
耳近くで綾瀬さんの低い声がする。
………。
「…藤ノ宮さん?」
「あ、は、はい。ぼーっとしちゃって。」