ハナミツ





電話で聞く藤ノ宮さんの声は、
会って話してるときより少し高い。



普段の藤ノ宮さんはあまり高い声ではない、
歌声で例えるならアルト。

聞いていて、よくとおる声だと思う。


俺は男の割には少し高いから、すこし羨ましい。



「大丈夫でしたか?すみません、相方が暴走して。いつもああなんですよ……。お聞き苦しかったと思って。」


「『え?え、面白かったですが、………大丈夫ですよ。』」



タツは今日も絶好調で、
もうああなったら乗っかるしかないのだ。

俺もつい、乗せられ暴走してしまうから
余計に恥ずかしい。


「……そうですか。良かったです。安心しました。」




「『息がピッタリで、一緒にされていた声優さんとは、仲良しなんですか?あ、すみません。答えづらかったら、その………っ、大丈夫ですから。』」


慌てたようにすこし声がうわずる。
苦笑して、俺は話す。



「大丈夫です。」
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