ハナミツ
真っ赤になりながら、電話しているのかな。
「『…電話って怖いですね。』」
「怖いですか?どうして、」
藤ノ宮さんは、ふふっと笑って言った。
「『綾瀬さんがすぐ隣で話してるみたいで、すこし緊張してしまって。
たまに横を見ちゃって。
けど、当たり前なんですけど電話だから、
綾瀬さんはいなくって………なんていうか、……くすぐったくなります。』」
くすぐったくなります。
すぐ隣で話してるみたいで。
心臓のどこかが柔らかく締め付けられる気がした。
なぜだろう。
今すぐ藤ノ宮さんの隣に行って話しをしたくなった。
笑わせたい。
同時に、ものすごく困らせてやりたくなった。
困らせて、俺しかいないと駄目だと。
前に泣いた時みたいな顔を見たいと。
「『………変なこと言っちゃってすみません、綾瀬さん?』」