ハナミツ
***
「おつかれさまでしたー。」
「おつかれさまですー。気をつけて帰って下さいね~」
アフレコが終わり、20時前どうにか帰れることになった
が……。
雨がすげぇ。……
「マネージャー呼ぼうかな………。」
うーむ。
他の声優陣たちは、マネージャーさんを
呼んだりタクシーで帰ったりと様々だ。
「綾瀬さん。凄い雨ですね。」
「あ、椿君。おつかれさまです」
同じ現場だった、椿君が外を眺めながら
言った。
「綾瀬さんはお帰りは?」
「んー、ちょっとどうしようか迷ってて……」
椿君は良かったら一緒に飯でもどうですか?と
誘ってくれた。
「マネージャーがまだ来れないらしくて、
用事があって、早くても1時間くらいはかかるって。
ならご飯でも食べて待とうかなって、
良かったら綾瀬さんも送っていきましょうか?」
人の良さそうな(子犬みたいな)笑顔を浮かべられたら、
なんとなーく断れない。
「僕、この近くで美味しい店知ってるんですよ。」
「あ、そう、なんですか……。」