ハナミツ




チーン



と音がして、エレベーターが開いた。



「すみ…ま…せんっ。………はぁはぁ、あー、…… 」


「あ、綾瀬さん、すみません!」



綾瀬さんは、少し息をきらして
エレベーターから降りてきた。


髪に水滴がついている。



「わざわざ………良かったのに…。」



「……危ないですから。こんな雨なのに、どうするんですか?」




綾瀬さんは、ジーパンからハンカチを出し髪を拭いた。

「えーと、ホテルにでも泊まろうかと……。」


ホテルという単語を聞いた途端、綾瀬さんは
ハンカチをポケットにしまった。




「……どこの、何ホテルですか?大丈夫なんですか。」




「綾瀬さん?」




< 174 / 668 >

この作品をシェア

pagetop