ハナミツ
前屈みになっていて、少し湿った髪から覗いた
眼鏡越しの視線。
体が構えてしまった。
少し怖くなった。
「綾瀬さん、……あの。」
「……すみません、…藤ノ宮さんは車で来てるんですか?」
「はい。」
「俺は電車なんですが、電車もとまってるみたい
です。さっきの後輩はマネージャーが送って行ったんです。家が近かったから。」
「綾瀬さんは?」
「家があまり遠くないから良かったら、
………来ますか?
たぶん通行止めにはなってないはずです。
別ルートを迂回すれば帰れます。
運転は俺がしますから。大丈夫ですよ。」