ハナミツ
台本は読み込んでいるけど…… 。
早くこちらにこい。
「……………。」
馬鹿な事を考えるな。
そんなことをすれば、
二度と藤ノ宮さんは、俺に近付かなくなるだろう。
下手したら軽蔑される。
風呂から上がったら、尚更そうだ。
彼女からする、花の香りが鼻をくすぐる。
甘ったるい、優しい花の香り……、
心臓がはやる。
落ち着け。
なにも考えるな。
ードクン、
ザァー………。
窓を叩く激しい雨音が急かす。
雨が止まない。
〈綾瀬目線おわり〉