ハナミツ
「……綾瀬さん、大丈夫かな」
もう遅い時間だ。
とりあえず布団に入っていよう。
綾瀬さんの帰りを待とう。
うん。そうしよ。
綾瀬さん、何か言いたそうな気がしたけど何だったかな。
やっぱりどこを気に入ってるか?
なのかな。
理由がなかなか見当たらなかった。
どれもありきたりな気がして。
綾瀬さんは、綾瀬さんで。
「………理由なんて、無くても。……」
今日こうして泊まれただけでも、十分な進歩だし
これ以上望んだらバチが当たりそう。
綾瀬さんを好きな人、ファン。
もちろん、わたしもその1人で。
でも、
どこか遠い気がして。
未だに、慣れない。綾瀬さんが、こうして近くにいてくれる事が。
私、綾瀬さんに何も話してないのに。
綾瀬さんばかり、私に話してくれて、不公平だ。
私が綾瀬さんに隠し事をしていて、多分そのせいで
綾瀬さんを好きだという感情が中々表に出せない。
綾瀬さんを、傷付けてしまうんじゃないかって。