ハナミツ
綾瀬さんだって、知る権利はあるのに。
綾瀬さんの優しさに甘えて、
ざぁあぁ………。
ー最初からですよ。
会ったときに、面白いひとだなって思ったんです。
綾瀬さんはあったかくて、真面目で、優しくて
動物に例えるならゴールデンレトリバーみたいな。
気づかずに、ずっと近くにいてしまいそうで。
さらけ出すのが怖い。
がちゃ、ばたん。
カサカサ。ダンダン。
足音が聞こえた。
「藤ノ宮さん?寝ました……?」
綾瀬さんだ。
返事をしたかったけど、止めた。
言葉が出てこない。
頭でぐるぐる言葉が回っている。
「もう大丈夫ですよ」
枕元に来て、ゆっくり髪を撫でてくれた。
私が眠っていると思っているのだ。
暖かい手。
お兄さんが、妹にするみたいな。
「…寝ちゃったか。…ごめんな、
今日は急に連れ回して。……
でも、何となく、一人でいたくなかったんだ。」