ハナミツ
気がついたらカーペットに押し倒されていて
綾瀬さんが真上に見えた
熱くてよく分からない。
綾瀬さんの手は ゆっくり私のおでこに触れた。
冷たい。
「…………つめたい。」
「…………そんな顔をして。」
綾瀬さんは、おでこから頬に手をゆっくり滑らせた。
そこだけ魔法みたいに冷たくなっていく気がする。
いつの間にか外した眼鏡がないからか、
知らない男の人に見えた。
「………あやせさ、」
「直昭。」
「………?」
「名前で呼んで下さい。」
綾瀬さんは、緩やかに私に命令した。
「………な、お…あきさん?…」
「うん。………」
綾瀬さんは頷いた。
「………蓮花。」
綾瀬さんは、名前を一回読んだあとまた
私にキスをした。