ハナミツ
「はい。」
「……名前呼んでくれて
ありがとうございます。な、………直昭さん」
「……っ、…」
靴が微かに動いた。
心臓が煩く動いている。
当たり前みたいに、
彼の名前は私の口からこぼれ落ちた。
ふわっと私は、抱き締めた。
綾瀬さんの顔がすぐ近くにある。
「あー、もー。可愛いなぁ………畜生。
仕事行きたく無くなったじゃないですか。」
ふっと笑って、私を抱き締める腕がキツくなる。
香水のいい香りが鼻をかすめる。
男の人のにおいだ。
「綾瀬さん。……、
ここエレベーターホールだから、人が……」
「…蓮花は冷たいなぁ。……
さっきは、あんなに色っぽい目で呼んでくれたのに」
「……あ、あ、あれは綾瀬さんが、」