ハナミツ
……。
ー直昭さん。
熱に浮かされながら、彼女が初めて口にした俺の名前は新鮮で。
一瞬、彼女をものすごくいじめたくなった。
前に付き合った彼女にも、直君とか名前では
呼ばれていたが藤ノ宮さんは、ちょっと違う。
綾瀬さんと呼んでいた、期間が長かったから
いちいち照れながら名前を呼ぶのだ。
……。
またキスしたら彼女は。
彼女は知らないだろう 。
俺の名前を彼女が呼ぶたび、
…心臓がまるでかきむしられてどうしようもなく
なってしまう。
耐えきれずに、もっと欲しくなっていくのだ。
「………麻薬みたいだ。」
一度手を伸ばして味をしめてしまったら
きっと、…手遅れだ。