ハナミツ
***
次のアフレコ現場に行ったら、
珍しく見ない顔の男の人がいた。
誰かなと思って、
チラチラ見るけど誰か思い出せない。
自分から話しかけるのは未だに苦手だ。
ど、がつくほどの人見知りは
まだなおっていないのだ。情けないことに。
「すみません、綾瀬さん。」
さっきの名前がわからない男の人と
顔見知りの声優が近付いてきた。
「林さん。おつかれさまです、とー」
「はじめまして。立花真琴といいます。
今日はよろしくお願いします。」
立花真琴さんは、ニコニコと笑っていた。
椿君を彷彿とさせるわんこ系男子だ。
「はじめまして。綾瀬直昭です。
よろしくお願いします。」
俺はしっかりと挨拶をした。
横にいた林さんが、フォローのように
「一昨年学校を卒業したみたいでね。
まだ駆け出しだから顔は売っておいた
ほーがいいかなって。少し海外に行ってたみたいで、
また機会があったら、色々教えてあげてよ。」
「なるほど。頑張ってください。僕に出来ること
があればお手伝いします」
宜しくお願いします。と、立花さんは頷いた。
しっかりしてる子なのかな。もしかしたら。