ハナミツ






「藤ノ宮さん。ちょっと座りません?」


「はい。えと……」


並木道を抜けたら噴水の広場に出た。
まばらに、人がいた。



綾瀬さんは噴水広場の奥にスタスタ歩いていった。


「あ、綾瀬さん。」

広場の奥はまた、街路樹になっていた。
少し隠れた場所にあるベンチに綾瀬さんは立ち、手招きしていた。










「ここなら見えないですね。」


私は隣に座ると
綾瀬さんは、ふっと体勢を変えた。




「あ、綾瀬さ………」


「しー……。すみません、ちょっと昨日遅くまで仕事だったから眠くて。寝かせて下さい。」



ひ、ひざまくら!




綾瀬さんが私のひざに!



今日はとりあえずフレアースカートできたから丈はあまり
気にならない。


けども!!



じいっと綾瀬さんの、頭を見る。
ところどころ、かすかに茶色いメッシュが入ってる気がする。





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