ハナミツ
疲れてるせいか、
あんまり頭を使いたくないんだろうか。
普段なら気にとめないことが気になるなんて。
香水じゃない香りなら他の人からだってする。
藤ノ宮さんは、かごにDVDを何枚か入れていた。
他に借りるつもりだろうか、
まだ近くの棚を眺めている。
アニメも何枚かある。
いや、アニメくらい……見るだろ。
俺が見ていた事に気づいたのか、近くに来た。
「やっぱり疲れてるんじゃないですか。
帰ったほうが……」
「……はは、そうみたいですね。
なんか、ぼうっとしちゃって……」
藤ノ宮さんは
一瞬目線を俺から外し少し険しい顔で、
言った。
「体調が悪いなら、悪いでいいから。
無理に笑わないで下さい。」
「………藤ノ宮さん」
「私、DVD借りて来ます。」
俺の横をすり抜けカウンターまで
突っ切って行った。
怒ったのか………?