ハナミツ
ドキドキしながら周りを見回したけど、
ほんとに人が来ないから少しほっとした。
「………」
「藤ノ宮さん」
「はい。」
綾瀬さんは、姿勢を変え正面を向いて話し出した。
私が下を向いたらすぐ綾瀬さんの、顔がみえる。
「………いつか俺が藤ノ宮さんから
離れていくって本当に思ってるんですか?」
「……。」
「………蓮花。」
綾瀬さんは、左手を伸ばし、ふっと髪を撫でる。
目をつぶった
綾瀬さんは、怖い。
声で仕草で、わたしをどこか
別の場所に連れていく気がして。
「……綾瀬さん。」
「ん。何ですか?」