ハナミツ
目をつぶったまま私は、話した。
綾瀬さんには言わなきゃいけない。
「私には母がいないんです。昔亡くなりました。
その時から、私は特別な誰かをつくるのが怖くて堪らないんです。
……母みたいにいなくなっちゃうんじゃないかって。
いつも思ってしまって。だから、綾瀬さんの事も……。」
「………。」
明日も明後日も、ずっと一緒にいたい。
「分かってるんです。いつかいなくなるなんて。……」
ー蓮花のせいじゃない。
いつになったら、この呪いは解けるのだろう。
大事な人を信じて、大事にする。
そうしたら居なくなった時だって
受け入れられるのに。
私は…。
「とりあえず俺には持病はないですけどね。
ああ、目が悪いくらい。車にはあまり乗らないし、
そもそもうちの親父なんか還暦だし 。ばぁちゃんも元気だし。」