ハナミツ
「確かにいつか、いなくなるだろうけど。
俺はいなくならないですよ、しばらくは。」
ははっと綾瀬さんは笑った。
「はい。」
目を開けたら綾瀬さんは、起き上がって
んーと伸びをしていた。
「あの、綾瀬さん」
「前に聞いたんです。結城さんに。
藤ノ宮さんのお母さんの事。……でも詳しくは
聞いてません。結城さんが話してくれなかったから。
いつか話してくれるまで、待ちますから。
ちゃんと教えて下さいね。」
綾瀬さんは真っ直ぐ前を見たあと、わたしを見て
苦笑した。
「…行きましょうか?」
私はなにも返事をしていないのに、綾瀬さんは
全部分かってるみたいだった。