ハナミツ
「……優しいですね。」
綾瀬さんは 海の方を向き近くにある手すりに手をかけた。
風に前髪がなびく。
「俺はきっと無理です。
多分、元彼女だろうと別れたら
友達にはなれないです。いるじゃないですか
別れて仲良くなるって。
あれよく分かりません。
別れたら、近しい他人くらいの感じです。最低限は対応しますけど。」
綾瀬さん。
冷たく見える。
けど、本当はそれは優しいからだ。
好きになって、付き合って、でも別れたら
友達には戻れない。
でも好きになった人だから、
無下にもできない。もし友達として
付き合ったとしても綾瀬さんは、器用に付き合えない
友達でもいられない、恋人でもいられないなら
離れるしかない……。
「綾瀬さん。」