ハナミツ









「ご機嫌じゃ~ん。綾瀬。おつかれ」


「おう。」




スタジオの外でスマホをいじっていた。
翌日、仕事であるスタジオに行ったら奴が来た。

「おう、じゃねえーよ。」


ふっと笑って、台本でパコッと俺を叩く。

奴は 榊 達久。
俺と同じ仕事をしていて、良き相棒。
良きライバルだ。


成りはモデル並にお洒落だが、
これで俺と同じ仕事、同じ年なのだから
初めて見た人は少し驚いてしまうんじゃないか。



「ご機嫌って、俺なんかキモいの?」

「んにゃ、キモくはないぜ。若干、ニヤニヤしてるくらい。なんかあったん?」


付き合いが長いから、奴のことは達久の
一文字を取って、"達"と呼んでいる。


達は、俺と同じように壁に寄りかかりポケットに
手を突っ込んだ。










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