ハナミツ
「『あぁ。そういうのもあるんですね。
そっか、』」
「はい。どんな感じにしたいとか、
もし時間があったらお店まで来ていただいて
打ち合わせするのがいいですけど…。」
「『そうですね。じゃあ姉と確認してみます。
打ち合わせた方が早いし確実だと思うから…。』」
綾瀬さんはテキパキと近いうちに打ち合わせに行く事、
結婚記念日の日を教えてくれた。
まだ日にちはあるから、そこまで焦らなくても
大丈夫らしい。
メモを取り日時を改めて確認した。
「『………。』」
「綾瀬さん?」
電話が壊れたんじゃないかってくらい、
静かになった。
「『…俺は…藤ノ宮さんの事を知りたいって
思うんです。最近物凄く。けど、もしかしたら
自分の欲は、あなたを傷つけるかも知れない。
でも、俺は……』」
さっきとは違い、語尾が弱くて低い声が掠れていた。
「『すみません。急に、何いってるんだろ……』」