ハナミツ
びっくりした。
自分がこんな事をするなんて、
綾瀬さんのシャツの裾を軽く引き、
彼の背中に頭を軽く当てた。
変わらずに、いい香りがする。
石鹸みたいな綺麗な香り……
「私は、……綾瀬さんとは付き合う事は出来ない、
付き合ってもきっと離れてしまうと思ってたんです。」
離れていっちゃうなら、
最初から手を伸ばしてはいけないー。
「綾瀬さんは、私に正直に話して下さってるのに
…私は、そういう不誠実な気持ちでいて、
本当にごめんなさい。
こないだの電話で、綾瀬さんから……
言われた事にはちょっとびっくりしたけど、
その……嬉しかったんです、
だから…その、ちゃんと……綾瀬さんと、……
……」
くるりと綾瀬さんは振り向き、
ぎゅっと私を抱き寄せた。