ハナミツ
「えと、……あ、
アニメの"スイレンカ"のでしょうか?」
「はい。」
綾瀬さんは、こくりと頷いた。
「俺はあのとき、藤ノ宮さんの言葉に励まされました。
あの主人公は冷たくなりすぎないけど、
媚び過ぎない役でそういう風に俺も演じたいと
思って望んだ役だったから。
あの時、見ず知らずの誰かにそう言ってくれたことが
本当に嬉しかったんです。
誰かに俺の声が届いてるんだって。
もしかしたら、藤ノ宮さんじゃなくても
好きになってたかもしれません。
けど、そういう事は偶然じゃなくて
きっと縁だと思うから。
だから、俺はその時から………。」