ハナミツ
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「七瀬博。あたしがまだ若いときにスタンド花作ってね、そんときの腐れ縁で仲良くなったの。不本意ながらね。」
本当に不本意そうに店長が伝票整理をしながら、
話してくれた。
七瀬さんは、声優。
つまり洋画やアニメに声をあてる仕事をする人だ。
七瀬さんから聞いた番組は見たことがあり、
番組のナレーションもしてるらしい。
幅広い、お仕事だ。
七瀬さんは、時間がなかったみたいで
詳細はメールで送ったからよろしくね。
と笑って、帰って行った。
店長の顔を見に来たのかもしれない。
もしかして、店長が好きなのかな。
「あーあ、ヤダヤダヤダ。七瀬博。そこそこ人気声優のくせーに。」
「いい感じの人に見えましたよ。声優さんって、
皆あんな感じなんですかねぇ」
店長は、は?と物凄い嫌そうな顔で言った。
「営業スマイルー、スマイルに決まってんでしょ。
あの馬鹿男。声優はね、芸能人なの。
ファンがいて、サービスしてなんぼ。
アニメとか最近凄いでしょ。昔なんか、声優は表に出なくてなんぼ。だったのが最近は顔だしは当たり前。
キャラソンとか出してんのよ。」