ハナミツ
ー好きです。
藤ノ宮さんのあの日の言葉は
嬉しかった。
けれど、なんでだか
俺はスッキリしなかった。
そうはっきり彼女から母親を死なせてしまった
"理由"を聞いてないからだ。
それがモヤみたいに心にかかって晴れない。
「俺さ、お前と彼女見たのドンキだったんだわ。偶々買い物行ってて。」
何の脈絡もなくタツはぽつりと呟いた。
「うん。」
「…お前が楽しそうに笑っててさ。
相手の子が買い物で迷ってた時も、声すら
出してなかったけどさ。
……なんか、綾瀬が幸せそうで。
素直に羨ましいなぁって思った。」
タツは頬杖をついて、俺のケーキを眺めていた。
「逹久。」
「ん、」
「ありがとな。」
「……。」
「……彼女のこと言わなくてごめん。
ちゃんと俺に聞いてくれて、ありがとな。
でも、こういったら言い訳に聞こえるかもだけど、
タツにはちゃんと話そうと思ってたんだ。」