ハナミツ
頭の上から声が降ってきた。
気がして周りを見たら、綾瀬さんは後ろにいた。
「あ、……綾瀬さん。あれ、桃花は。」
「電話だって。玄関から外に行ったけど。
聞こえませんでした?……かなり走っていて、
元気ですね」
「あ、……そうだったんですね。あはは。
とりあえずお茶飲みましょうか。冷めちゃいますから。」
「………。」
ダイニングのテーブルにお茶セットを運び、私は座ろうとした。
「………。」
ぐいっと、イスをひく手を制された。
手を握りながら彼はふっと笑った。
「綾瀬さん……?」
「……はじめて来ました。
藤ノ宮さんの家。話には聞いてたけど。
案外近いんですね」
「あ、そ、そうですね。びっくりしました。
急に近くの駅まで来てるって……言われたから……。
」