ハナミツ
悶々とした気分のまま、私はいつも通り
仕事を終えDVDレンタルショップに向かった。
よし、こんなときはスカッとするDVDでも借りて
ぱぁっと気分を晴らそ。
そうしよう。
「あら、久しぶりですね。アクアガーデンのエース様。」
「………?」
「私の事覚えてない、まさか。」
店を入ってすぐの雑誌コーナーで彼女は、ふぅんと
言った。
「えーと、あ、思い出した!ブルーウェーブのもやしさん。
ん、森谷さん?」
もやしさんか森谷さん?か分からない彼女は、
「も、り、や。森谷 かすみ!
誰がもやしよ!失礼しちゃう。」
と怒鳴った。
確かイベント花の設営の時に、少し話した気がする。
黒髪パッツンのロングヘアー、モデル並みに綺麗な容姿は
設営の時に見とれてしまった。
「…ふん。ま、いいわ、名前を覚えてくれただけでも。私はそこまで器が小さい人間じゃないから。
何せアレンジの腕じゃ私は貴方に負けてるもの。」
「……」