ハナミツ
見慣れたひと。
スマホで誰かと話してるのか、私には気付いてない。
あと200メートルくらいですれ違う。
「…賭けましょうか。蓮花さん…、」
「え?」
「もし彼がこの雑踏であなたに
気づけたらあなたは、今すぐ綾瀬さんの元に行く。
気付けなかったら諦める?どうです、簡単でしょう。」
「……そんな、」
諦める?
「…その程度の縁だったと、諦めもつくでしょう?」
その程度……。
ちがう、
綾瀬さんとはそんな簡単に
簡単に諦められる縁なんかじゃない。
面倒くさい私を分かってると言ってくれた。
「……。」