ハナミツ
「…はぁ。」
「府抜けた返事ですね。全く、そういえば最近
SNSでここが話題になってることご存知ですか?
声優の綾瀬直昭がこの店に来ているって。」
「…へー」
「……貴方って本当に仕事以外のツールが働かない人なんですね。むしろ興味ないと。」
「声優さんですよね。知ってますよ。
でも芸能人だからむやみやたらに騒ぎたてるのは、嫌じゃないかと思って」
森谷さんは、まぁプライベートですからね。
と相槌をうってくれた。
そこら辺は分かってる人なんだ。
「森谷さんは私に何か用事があったんじゃ」
「別に。ただ少し警告しようかと思って。」
「警告?」
「藤ノ宮さん。」
誰かが私を呼んだ。振り向いた声は綾瀬さんだ。
「あ、綾瀬さん。」
バサバサバサー
振り返ったら、森谷さんが読んでいた雑誌が何冊か床に落ちた。
「森谷さん大丈夫で……」
かがんで本を拾おうとしたら森谷さんが小声で、
「綾瀬直昭じゃないですか!………あなた、馬鹿?」