ハナミツ
「……は?え………」
ぽかんとしてる綾瀬さんを振り切りDVDショップを出た。
が、日頃走らないせいか出口を出た辺りで失速してしまった。
だ、だめだ。
気持ちが整理出来ない。
「藤ノ宮さん!」
「だ、だめです。来ないでください!!」
「………っ。」
後ろを見たら綾瀬さんが追うか追わないか微妙な位置で立ち尽くしていた。
「私………」
「はい、そこまでー。」
急に明るい声がした、綾瀬さんの後ろからにゅっと
誰かが出てきた。
「……七瀬さん。」
綾瀬さんは小さく呟いた。
「や、花屋の君。久しぶり。相変わらず可愛いね~」
「あ、店長の知り合いの。……」
七瀬博さん。
今日は黒い帽子に眼鏡をかけていた。
綾瀬さんの方から七瀬さんはスタスタ歩いて来た。
「うん、久しぶりです。綾瀬君?
駄目でしょ。迂闊に一般人の子と話したら……。
SNSで噂になってるよ。君がここに来てる事。」
七瀬さんは、私から綾瀬さんを隠すみたいに
私の前に立ち綾瀬さんの方を向いていた。
「……すみません。」