ハナミツ



綾瀬さんの表情は分からない。

七瀬さんの口調は教師が、生徒を諭すような口調だった。

「君もいい年齢だから、女性と関わるなとは
言わないけど場所は選ばないとね。ま、そんなこと言ってたらいつまでたっても無理か? 」



「………」


「……さて、僕は彼女と帰るから。
君は安心していい、頭冷やしなさい。事務所には噂は流れてるけど知らないふりしとけばいいよ。」


「………あ、あの。」


「一度事務所に寄って帰ります。ありがとうございます。………頼みます」


「…、」

七瀬さんは私の前からすっと体をひいた。
気が付いたら、綾瀬さんは反対の方に歩いて行っていた。

「ごめんね。藤ノ宮さん。」


「………、いえ!全然、」


七瀬さんは済まなさそうに苦笑していた。


「百合に怒られるなぁ……。」


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