ハナミツ
***
「蓮花。眠くない?大丈夫」
ふと、直昭さんの声が聞こえた。
「……ちょっと眠いかもです。
はは、寝たのにな、駄目ですね。」
昔の事。整理しながら客観的に話すのは
むずかしい。
「横になって話そう。」
「でも……なら、私の部屋、」
直昭さんを見たら、駄目と苦笑された。
「ほら、おいで。」
直昭さんは先に布団に寝転がった。
「……はい」
のそのそと私は布団に潜り込んだ。
直昭さんも布団に入り、あーあったけぇと笑った。
「蓮花のにおいがする。」
「は……い……」
向き合った狭い布団の中での距離感に戸惑
って、仕方なく近くにいる彼の浴衣の襟を見つめる。