ハナミツ
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「蓮ちゃん、いま話し出来る?」
舞台練習が終わり、母は珍しく私を呼び止められた。
「なに?」
「……桃花のこと、蓮ちゃんに
言わないで決めちゃったから。蓮ちゃん、
怒ってるんじゃないかって思って……。
その、真琴君から少しだけ聞いて。」
「………。」
「ごめんなさい。蓮ちゃん。偶々
あの人がいた時に桃花が来ちゃって……。
あの人、結構無茶なこと言う人で、」
「……」
ー街灯に虫が寄ってくるみたいな…。
明るい光、
私にはないもの。
母や桃花は持っているもの。
持っているものに気付かない人間は幸せだ。
持っていない人間の寂しさなんか知らないから。