ハナミツ
私は、無償に腹が立った。
母の話すおっとりした声のトーン。
いつもは優しく聞こえるのに。
まるで、自分が
可愛いことを分かっているみたいな
作りものみたいな声に。
腹が立った。
「でも、舞台終わったら必ず蓮ちゃんの発表会に……」
「……別にいいよ。お父さんが来るから。
桜さんは来なくても。忙しいんでしょ。」
わざと冷たい言い方をした。
「蓮花?」
「……」
「やっぱり、怒ってるのね?」
「うるさい。
いま、優しくされたくないの。
惨めな気分にしかならない。私は、綺麗じゃないのは
知ってるし。
桃花のとこに行けば?」