ハナミツ





私は、無償に腹が立った。


母の話すおっとりした声のトーン。
いつもは優しく聞こえるのに。


まるで、自分が
可愛いことを分かっているみたいな


作りものみたいな声に。



腹が立った。








「でも、舞台終わったら必ず蓮ちゃんの発表会に……」
「……別にいいよ。お父さんが来るから。
桜さんは来なくても。忙しいんでしょ。」



わざと冷たい言い方をした。


「蓮花?」



「……」



「やっぱり、怒ってるのね?」




「うるさい。

いま、優しくされたくないの。
惨めな気分にしかならない。私は、綺麗じゃないのは
知ってるし。

桃花のとこに行けば?」









< 415 / 668 >

この作品をシェア

pagetop